一年中雨が降り、暗い鉛色の空に覆われているのが、ここブルターニュ地方である。フランスきっての優良な魚場を持ち、その漁獲高はフランス全体の40パーセントにも達する。しかしながらその魚だけでなく、仔羊もすばらしい質のものを産する。この仔羊は潮風を受けて伸びた牧草を食べて育つもので、その肉質はフランス全土の三ツ星レストランがメニューに載せることで証明される。
お隣のノルマンディー地方と同様、シードルとカルヴァドスがアルコール類を占めるが、もう少し南下したところにあるナント地方はいい白ワインを産する。
料理に関しては魚料理のほうがやや優勢だ。シードルで蒸した魚や白ワインとバターで作るソースなど、美味しい魚料理が多い。
お菓子に関しては素朴なものが多い。ファーブルトンと呼ばれるフランやガトーブルトンが有名だが、皆さんおなじみのクレープはこの地方の銘菓である。もともとは小麦粉で作るのではなく、そば粉を使っていた。そば粉ぐらいしかなかったのだ。これを水で溶き、熱した鉄板の上に広げて焼き上げる。バターと砂糖を振りかけたシンプルなものも素朴で美味しい。
ブルトン語という独自の言葉を持つブルターニュ地方の文化は、とても魅力的だ。