2005年07月27日

バスク地方

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スペイン国境に接する地方である。フランス西南部、ピレネー山脈のふもとにあり、スペインの影響を大きく受けている。海の幸、山の幸両方に恵まれ、独特の料理文化を持っている。さらにこのバスク地方一体はバスク語という言語を使い、さながら独立国のようである。実際過去何度も独立運動を繰り返していることは、これを証明している。

通常フランスでは食べないタコやイカ、その墨を使った料理、にんにく、トマト、ピーマン、トウガラシなどを質のよいオリーヴ油で仕上げた料理は実に美味しいものだ。このほかバイヨンヌ産の生ハムなどもこの地方の特産品である。


○バスク風ピペラード
 
 代表的なバスク料理である。スクランブルエッグに別に炒めておいたにんにく、トマト、ピーマンを加え、焼き上げたタルト生地に詰める。生ハムをカリッと炒めてその上にのせ、刻んだシブレットをふる。


○イカの墨煮

 イカを刻んだにんにく、玉ねぎとともに炒め、イカ墨を加えて軽くあわせる。白ワインを加えて軽く煮込む。付け合せには炊いた白米を添える。



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2005年07月15日

赤ワインができるまで

芳醇な香りとコク、その赤ワインができるまでの工程を見てみよう。

赤ワインの大きな特徴は何といっても、その色、これを出すのは葡萄の皮だ。だから必然的に色の赤い葡萄を使うことになる。赤いといっても様々で青みがかったもの、黒っぽいものなどがある。ただし、例外的に白い葡萄を混ぜて作ることもあるので、赤ワインは色のついた葡萄のみで作るというわけではない。混ぜる場合もあるのだ。

さてこの葡萄、収穫は房ごと行う。実だけをとっていたのでは到底間に合わない。ここから先は以下のとおり。

.葡萄は洗わず房のまま機械に投入する。まず房を軸と実に分ける。次に圧搾する。種をつぶさない程度にローラーで圧搾してぶどうジュースを取る。はずした軸は捨て、ジュース、皮、種はまとめて発酵槽に移される。


.葡萄の皮には酵母以外にも雑菌など不要なものが付着しているので、いったん亜硫酸ガスを添加して雑菌を除く。そして新たに上質の酵母を加えて発酵させる。発酵時には熱が発生し、その熱によって発酵が弱くならないようによくかき混ぜる。この発酵時間の加減で色の薄い軽いものから色の濃いタンニンのしっかりしたワインまで作り出すことができる。

.次に不純物である澱を取り除く。この澱は時間の経過とともに下に沈むので、上澄みだけをすくって別の容器に移す。これをそのまま瓶詰めすることもあるが、高級ワインの場合はさらに木樽に移し、熟成させる。この段階でさらに香りや風味がプラスされ、複雑なワインになる。

大まかだがこのようにして赤ワインは作られる。ワインは自然の産物だが、高級ワインの醸造者はその質を維持するために心血を注いでワインを造っている。それはまるで愛おしいわが子のようである。
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2005年07月07日

フォアグラのポワレ

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今回は温かいフォアグラ料理の代表、ポワレだ。ポワレとはフライパンなどで焼くという作業である。

フォアグラは脂の塊なので加熱すると当然溶ける。そこでまずそのフォアグラ自体の質が重要になるのである。このフォアグラの品質に関しては、その卸業者との信頼関係に頼るしかないのが現状だ。当然個体差もあるのでそれをチェックすることも忘れないこと。

フォアグラをソテーするにはいいフォアグラを使うことが条件だが、焼くためのテクニックも必要である。ポワレするにはフォアグラの中心部分を使う。端のほうは形が不ぞろいなため、ポワレには使わず、テリーヌやファルスなどにして使う。中心部分は1cm程度の厚さに切り分け、塩、こしょうを両面にふる。溶けて流れるのでやや強めに味をつけておくといい。焼く30分位前に下味をし、なじませておくのもいいだろう。さらに別の方法としては下味をつけたフォアグラを牛乳にくぐらせ、強力粉を薄くまぶして焼くというのもいい。

表面をこんがり、中はほんのりと温かく焼き上げるには多少コツがいる。フライパンを充分に加熱してやや強めの火加減で焼き上げ、余熱で中を温めるといいだろう。

ソースや付け合せは甘味のあるものがよく合う。ソースはバルサミコやバニュルスなど、甘味のある酢を煮詰めて使うのが簡単でおすすめである。この時期はイチジクや桃、ブドウなどをつけ合わせとして添えるととても相性がいい。
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2005年07月01日

ぺリゴール地方

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今回訪れるのはフランス西南部【ぺリゴール地方】だ。ここは農業中心の土地だが、それを代表するかのように特産品はトリュフとフォアグラである。世界の3大珍味が二つも揃うというところは他にはない。さらにクルミオイルやガチョウの脂などもよく使われる食材だ。

料理はフォアグラをソテーしたものやトリュフのサラダなどが有名だが、これらはこの地方に住む人たちにとっても高価で貴重なものなので、そうそう口にできるものではない。むしろ郷土料理として愛されているのは、鴨のもも肉を鴨の脂でゆっくりと煮込んだコンフィーや、ソーセージやコンフィー、白インゲン豆などを煮込んだカスレなどである。

ワインはカオールが代表的だ。タンニンが強く、薫り高いこのワインはまさにこのぺリゴール地方の食材と抜群の相性を示すのだ。
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2005年06月26日

フォアグラのテリーヌ

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フォアグラのテリーヌは数あるフォアグラ料理の中でも特に代表的なものだ。しっとりとかつ香りよく出来上がったテリーヌは、その滑らかな舌触りとともに忘れられない料理となるだろう。

大事なことは多くの料理でもそうだが、まずそのフォアグラの質だ。色、手触りで調べることもできるが、結局味を見るまではわからない。信頼の置ける業者から仕入れることも大切なポイントになる。

仕入れたら最初の処理をする。牛乳や氷水などに浸けて血や臭みを抜くが、現在ではフォアグラの質がとてもよくなったために、この工程は必ずしも必要ではなくなっている。次に血管や筋を取り除く。フォアグラは二つの房からできており、この間に太い血管が通っているのでこれを取り除く。さらに指で探るようにしながら細かい血管を除く。どのあたりまで掃除をするかはそれぞれ料理人によって違う。

次にフォアグラに味をつける。塩はもちろんだが、さらにアルコール類を使う料理人も多い。
コニャック、ポルト、マデラなどいずれも甘味を連想させる酒を使うことが多い。その量も料理人によってまちまちだ。こうしてフォアグラは下ごしらえでさらに旨みを増すのだ。

そして最終工程に入る。下処理を終えたフォアグラをテリーヌ型に詰め、低温のオーヴンで加熱する。触ってみてやや熱くなっている程度でよい。そしてここからは余熱で火を入れる。熱が入りすぎるようであれば、すぐに氷水に当てて冷却する。いずれにしても火の入れすぎには注意することだ。そしてさらに何日か寝かせて風味を落ち着けたら出来上がり。これだけの時間と手間をかけて作るテリーヌだからこそ、その味わいは多くの人を魅了するのだ。
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2005年06月24日

赤ピーマン

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赤ピーマンはフランス料理に欠かせない野菜の1つで調理法も非常に多い。ピーマンはナス科トウガラシ属の野菜だが、最近はいろいろな種類が出回っている。大果種の緑ピーマンを完熟させたものが今回取り上げる赤ピーマンだが、強い甘味とわずかな酸味があるのが特徴である。ちなみに黄色いピーマンは赤の品種とは別種になる。ピーマンの含有するビタミンCは加熱しても壊れにくく、油と一緒に摂取することでベータカロチンの吸収率も高まるので、夏ばて防止には最適である。

調理法は非常に多いが、今回は過熱する料理を取り上げてみたい。


1.赤ピーマンのムース
この料理は一時フランス料理界を席巻したことがあるほど、ポピュラーな料理だ。赤ピーマンはヘタと種を除き、ざく切りにしてコンソメで煮込む。これを裏ごしし、泡立てた生クリームと合わせ冷やし固める。ゼラチンを加えたり、バターを加えたりと様々なアレンジがある。赤ピーマンのもつパワーを前面に押し出した料理でその登場は非常に衝撃的であった。


2.赤ピーマンのマリネ
イタリア料理にも欠かせない素材の赤ピーマンだが、シンプルに仕立てても美味しい。赤ピーマンは高温のオーヴンでローストし、皮をむく。このとき冷水にはとらない。旨みが逃げて水っぽくなるからだ。ヘタと種を取り除き、食べやすい大きさに切る。塩と上質のオリーヴ油でマリネすれば出来上がり。にんにくのスライスを加えたり、アンチョビやケッパーを加えたりとこちらもアレンジが可能だ。

他には赤ピーマンの冷たいスープやその形を生かした詰め物料理など、多くの調理法がある。これからの季節、食卓に頻繁に登場させたい野菜である。

ジャンボピーマン◎赤色⇒パプリカ
ジャンボピーマン◎赤色⇒パプリカ

ピキーリョ・スイートペッパー焼き赤ピーマン
ピキーリョ・スイートペッパー焼き赤ピーマン
posted by エリゼ宮 at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 食材あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月19日

ロワール地方

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フランス中央部を流れるロワール川流域を中心とした地域である。気候も非常に安定していて人にも作物にもとても優しい。その風光明媚な土地を貴族たちが見逃すはずもなく、競うようにして城を建てたのである。その景色はここが『ジャルダン・ド・フランス(フランスの庭)』といわれるのを証明している。

さて、料理に目を移そう。当然川が中心の土地なので、まずは川魚の料理だ。ブロシェやサーモン、サンドルといった魚をムース、あるいはクネルにしてブールブランソースを添えたもの。うなぎを赤ワインで煮込むマトロート。いずれもロワール地方の代表的な郷土料理だ。皿に上流にさかのぼると、今度は穀倉地帯が広がる。素朴でとても美味しいパイ料理が有名である。

デザートも特筆すべきものが多い。特に豊富に収穫できるあんずやプラム、リンゴなどを使ったタルトなどは味わい深い。タルト・タタンはこの地方で生まれた有名なタルトである。

ロワール地方はまた、ワインの産地としても非常に有名である。エレガントでやさしいワインを多く産する。シノン、サンセール、ミュスカデ、アンジュなど優れた銘醸ワインが目白押しだ。
posted by エリゼ宮 at 04:39| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス地方料理紀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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