では、その料理の誕生はどういう経緯を経てきたのだろうか?素朴な疑問だがここからスタートしよう。
遠い祖先の時代、まだ狩猟や採取で食料を得ていた頃は、その食生活は決して安定していたものではなく、「あれば食べられる、なければ食べられない」という状態のものだった。そこでは食べ物を求めて移動することが必要だったのだ。おのずと決まった時間に決まった場所で食事をするというスタイルは成立しなくなる。
やがて食物を栽培するようになると、定住化がすすみ、もはや食物を得るための移動は必要ではなくなる。そこでは集団生活が始まり、食事もある程度決まった時間に揃ってするという食事のスタイルが確立される。食物を安定した状態で得ることは、人類の大きな進歩のひとつでこれによって生活がよりいっそう豊かになったことが想像できる。
本能的に動物は火を恐れる。この火を使うことができるようになったということは、人がそれだけの知能を身につけたということだ。もちろん最初はかなり熱い思いをしたのだろうが・・・。こうして火を使うことで「料理をする」という概念が生まれたように思う。それまでほぼ生の状態で食べることしかなかった食べ物が、火を通すことで飛躍的に変化したのだ。硬くて歯が立たなかった食べ物も、加熱することで柔らかくすることができただろうし、保存なども簡単にできるようになっただろう。こうして人類は「料理をする」ことを身につけたのだ。